(具体的には、小学生があなたのお客さんになったり、両親と同じ世代の人と取引をしたり、外国から来た人があなたの上司になったりする可能性が、いくらでもあるということです)
社会人に求められている「コミュニケーション能力」とは、こうした様々な人びとの想いを理解し、共感し、信頼を得て、仕事を成功に導くための能力です。そのためには、それぞれの人が生きてきた時代背景を勉強し、その人の立場に立って考える想像力を身につける必要があります。
このゼミは、次の2点を目標にしています。
・私たちが生活している社会の複雑さを知る。また、さまざまな背景を持った人や組織が、その複雑な社会の中でどのように生きているかを知る。
・単に知るだけではなく、メディアを使ってそうした「他者」とコミュニケーションしてみる。
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◇市民による市民のためのメディア表現活動
これまで、お年寄りや障がいを持っている方、被災地の学生、過疎化の進む地域に住む方々など、いろいろなところに出かけて、そこで暮らす人びとの想いを伝えるための作品を作ってきました。
ただ私たちがそこで行ってきたのは、
当事者の言葉を取材・編集して「代わりに表現してあげる」ことではなく、当事者の想いを掘り起こしながら、「当事者と一緒に表現する」という活動です。
「他者」と一緒に行動し、悩み、作品を作り上げる中から、たくさんの理解と共感が生み出されてきました。これまでに作ってきた作品は、
http://mediaconte.net/で観ることができます。
◇人びとの「想い」を伝えるための実践
こうして完成した、たくさんの人の想いが詰まった作品を、さらにたくさんの人に観て・聴いてもらい、共感の環を広げるためにはどうすればいいか。みんなで知恵を絞り、計画を練り、実行していきます。
※これまでの実践例
- webでの公開
- ケーブルテレビ用の番組制作・放送
- 学内/学外での上映会の実施
- 冊子の制作および同人誌即売会での配布
◇卒業論文―社会の複雑さを知り、議論し、言葉で伝える
4年生は卒業論文の執筆を行います。社会の複雑さについて調べ、ディスカッションし、伝える力を身につけることがその目的です。
特に、ことばで考え、筋道立てて相手に伝えるという、最も基本的で最も重要なコミュニケーションの能力を高めてもらいたいと思っています。そのために、とにかく数多くの文章を読み、考え、議論し、その成果を的確に書き表す練習を行います。
テーマは広い意味でメディアや文化に関することならば自由です。いままで気づかなかった社会の構造が見えてくるような力作を期待しています。
※過去の研究テーマ例
- ボーカロイドの社会的広がりとその可能性
- 2.5次元の社会学 ―テニミュファンの行動と思考を通して
- 新メディアの登場によるお笑いと受け手の変化
- なぜ音楽にはラブソングが多いのか ―2000年代J-POPの歌詞分析
- ヴィジュアル系およびバンギャルへの参与観察
- なぜ日本人は髪の毛を染めるのか
また就職活動に合わせて、エントリーシートや面接の練習なども随時行います。これも、ことばで自分の意思を的確に伝えるという意味では共通した活動だと考えています。
◆おわりに
2年間でこれだけのことをこなすので、はっきりいってハードです。特に大学外の人とさまざまな活動を行うので、途中で投げ出さない責任感が求められます。しかし、それを越えた先にある「自分の頭で考える楽しみ」「自分で物事を動かす喜び」はまた格別です。
やる気と根性、そして何より知的好奇心を持ったみなさんの受講を、心から楽しみにしています。
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